■第2回:タンスの肥やし
使わなくなったカーオーディオを今も家に置いてあると聞く。
若かりし頃、音にこだわって買った高価な機器だ。
中には「中古車なら買えるのでは?」というほどの高級機種もある。
たとえ高価ではなくても、特別な思い入れがあり、どうしても
手放したくない物もある。
そして、これらのカーオーディオは動作させられることもなく、
家のどこかにしまい込まれている。いわゆる
「タンスの肥やし」
である。
これらを所蔵する人は、誰もが口をそろえて、
「クルマに乗せないと使えないし、
今のクルマにはカーナビ一体型がついているから使わない。」
と言う。確かにその通りだ。
最近はCDでさえ不要だ。クルマの中も家庭内同様、もはや
物理的な音楽メディアを再生する必要はないのである。
■押し入れの奥底、ダンボールに眠る
「あの時のカーオーディオ」
■帰ってこい、あの時の俺の音・・・
LE801 開発秘話
■電源なければ単なる箱
こう言っては申し訳ないが、電子機器に限らず電気で
動くものは電源が無ければ単なる箱である。もっとも、物入れにも
ならないので「箱」としての機能があるのかどうかも怪しい。
タンスの肥やしとなったカーオーディオはまさにこの状態である。
ならば―――
「電源があればタンスの肥やしにはならないはずだ」
とはいえ、クルマのバッテリーを部屋に持ち込むのは気が
引けるし、バッテリーの充電管理も面倒である。
だったら、コンセントから車のバッテリー電圧である直流12Vが
得られる電源装置を作ればよい。これだけでタンスの肥やしは
現役に復活できる。
また、カーオーディオは、操作パネル面以外はとても
「無骨な作り」となっている。クルマのダッシュボードに収められて
しまうから、これは至って当然の設計ではあるが、カーオーディオを
「部屋で使う」のなら、この問題も解決したい。
思い入れがあるからこそ、そして大切にしまっておいたからこそ、
美しい入れ物の中であの時と同じ音楽を奏でてほしい。
カーオーディオに思い入れのある人ならば、誰しもそう思う
はずだ。
昔日のカーオーディオの音が今、自分の部屋に蘇る。
これは新しい感動の創出だ。
帰ってこい、あの時の俺の音・・・